コンデンサー型、ダイナミックマイク、チューブマイク...と種類に加えて様々なメーカーから様々なマイクが発売されているマイク。
マイクには音のキャラクターや特性があり、使用環境や録りたい音に合わせてマイクを選定します。レビューや口コミで意見が分かれるのも、用途や声質、ご使用環境の違いによるものが一因として考えられます。
本特集ページでは、配信向けのマイクに的を絞って、マイクの選び方を解説してきます。
数多く発売されているマイクから1本を絞り込むのは途方も無い道のりかと思います。
当店では、まず初めにマイクの種類を決めて頂き選択肢を絞り込んで頂くことをお勧め致します。
「コンデンサーマイク」や「ダイナミックマイク」といった型式から絞り込む方法もございますが、ほかにも形状による特性の違いがあります。
中にはコンデンサーマイクのような外観をしたダイナミックマイクも存在しますので、種類を把握しておくとより分かりやすいかと思います。下記では弊社で独自に決定した定番ランキングをご紹介致します。
【こういった方にお勧め】①豊かな音が好き②マイクと口との距離がやや離れる③マイクを立てて設置できる
定番モデル:audio-technica AT2020
サイド=横から音を拾うのでサイドアドレス型と呼びます。音を拾う範囲=指向性もダイナミックマイクと比べると広めになっているため、マイクから少しズレても音をそれなりに拾います。感度が良いマイクが多く、感度が良いとマイクから少し離れても声を拾いやすいため配信に人気です。
口とマイクとの距離が離れてもダイナミックマイクよりも音質変化は少ない傾向にあります。(距離が離れると音量は下がります) 音質はナチュラルな物が多く、高価なマイクになると音が豊かになる傾向があります。感度が良いということは環境音や反響音を拾いやすくなるのでご注意を。場合によっては使用環境の吸音や遮音が必要になることも。
【こういった方にお勧め】①籠りにくさを求める②マイクに入る環境の音を小さくしたい③マイクと口との距離を近づけられる
定番モデル:SHURE SM7B
トップ=先端から音を拾うのでトップアドレス型と言います。マイクと口との距離によって音質が大きく変化します。コンデンサーマイクよりは感度が低いため、基本的にはマイクを口元にしっかりと近づけて使用するのがベター。近づけて使用することで環境音や部屋鳴りも気になりにくくなります。音のキャラクターもコンデンサーマイクの豊かな音とはまた異なります。コンデンサーマイクと比べると豊さはなく、ソリッドで固く鋭い音質傾向にあります。口とマイクとの距離を近づけると近接効果と呼ばれる低域が強調した野太いサウンドが得られます。エッジの効いたミドルボイスなどに最適。距離を離すと低域が減っていきシャリシャリとした音になるので要注意。特にハイトーン系のボイスの方は高域の特性が相性で評価が大きく分かれる可能性があります。
【こういった方にお勧め】①マイクと出演者との距離が離れる②マイクの写り込みを無くしたい
定番モデル:ゼンハイザー MKE 600
音を拾う範囲が非常に狭く、狙いを定めて集音するために選ぶマイク。野外収録やマイクの写り込みを防ぎたい動画撮影等に。距離が離れても音を拾う設計にしているモデルが多く、室内収録時にもマイクと口との距離を離したい場面に使われます。構造上、音を拾う部分は小さくなり、高域が強くなる傾向に。良い効果では声の了解度を高める明瞭なサウンドに。ミスマッチが起きると低域が物足りないという印象も与えるかもしれません。
【こういった方にお勧め】①音を良く拾いたい②マイクと口との距離がやや離れる③マイクを寝かせて設置したい
RODE BROADCASTER
筐体の大きなコンデンサーマイクは"サイドアドレス型"が主流ですが、中にはマイクの天面に音を拾うダイアフラムが向いている"エンドアドレス型"のコンデンサーマイクがあります。配信向けのマイクが多く、話し手に向かって真っ直ぐマイクを向けるため視界を遮りにくく、ラジオ収録やゲーム実況等にお勧めのマイクです。
【こういった方にお勧め】①声量大きめの歌配信②配信用マイクをステージでも使いたい③マイクと口との距離を近づけられる
定番モデル:SHURE SM58
手に持って使うので、ハンドヘルド型と呼びます。配信で使用する場合には、明確な目的を持って選ぶべきマイク。用途に合わないと、声が細い・音量が小さく感じる可能性があります。手持ちでマイクを口に近づけて使用する際に性能が発揮できる物が多いです。スタンドに立てても使用できますが、距離が離れると低域の少ない細い音になりやすいです。ステージで使用されることの多いマイクで、ステージ上で使い勝手の良い集音範囲や距離感による音質変化をもたらします。コンデンサーマイクよりは音圧に強く、声量のしっかりした歌配信・カラオケ配信にお勧めです。
下記にてサンプル音源をご用意しました。イコライザーやノイズ除去は一切行っていない生々しいサンプル音源を公開致します。
収録は、配信を想定しマイクと口との距離は30cm程と離れ気味にセット。パソコン画面が見えるように横方向から口を狙うようにセットしています。ポップガードは使用していません。録音機材はTASCAMのPORTACAPTURE X8を使用。32bit Floatで収録したものをDAWで音量調整し48kHzの24bitで書き出ししています。コンデンサーマイク収録時、レコーダーのゲイン設定は全て同じ設定にしています。感度の目安としてコンデンサーマイクにはDAWで補正したゲインを表記しています。声量や声色にバラツキがあるため、おおよその目安としてご参考になさってください。
ヘッドフォンやモニタースピーカーでご視聴頂くことをお勧め致します。ご試聴環境により音質が変化致しますことご留意ください。
■サンプル音源 (DAW上での音量補正+6.2dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+0.5dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+9.4dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+6.0dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+11.7dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+6.4dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+11.5dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+7.2dB)
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■サンプル音源 (DAW上での音量補正+4.4dB)
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■サンプル音源
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■サンプル音源
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■サンプル音源
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■サンプル音源
>>目次に戻る今回はあえてダイナミックマイクもコンデンサーマイクと同じ条件で約30cm程離してセッティングをしましたが、ダイナミックマイクにとっては酷なテストとなりました。といいますのが、元々ダイナミックマイクを声の収録に使用する場合、マイクと口との距離は指1本分~10cm程度で使用するのが理想的で性能が発揮できるよう作られています。
解説動画ではダイナミックマイクを適切なセッティングにし収録した場合の音声も公開しておりますので、是非動画をご覧下さい。
マイク選びのポイントは用途や好みにあった物を選ぶということです。なかでもマイク選びに際し、一番分かりやすいのが用途に合う・合わないという部分です。例えば、コンデンサーマイクは感度の良いマイクで音を拾いやすい特性がありますが、音を拾いやすいということは、環境の音を拾いやすいというデメリットにもなりえます。メリットとデメリットを比較して重視するポイントを意識してお好みのマイクをお選び頂けると幸いです。
音質については、直感的に「これが良い!」と感じたマイクを選ぶのがお勧め。可能な限り、同じ条件で収録した比較音源を参考にするか、楽器店でマイクカウンセリングを受けるのがお勧め。最終的には好みに合うマイクが一番です。
違いが分からない…という場合には、用途にあった種類の中から定番のモデルをお選びいただくのがお勧め。定番のモデルなら、2本目のマイクを選ぶ時にも基準として差を表現しやすくなります。例えば、「定番のaudio-technica AT2020よりも豊かな音が欲しい」といった風に相対的に検討をすることができるようになります。2本目選びの際、楽器店の店員に相談するときも伝わりやすくなりますよ。