音響設備で「価格を抑えられるポイント」と「抑えられないポイント」

目次

音響設備は構成次第で大きく価格が変わります。
ただし、「削れる部分」と「削れない部分」がはっきりしているのが特徴です。

価格を抑えられるポイント

①PA用ミキサーを活用する

音響設備専用のプロセッサーを使用する代わりに、
PA用途に設計されたデジタルミキサーを流用する方法があります。

例えば、

・YAMAHA TF1
・YAMAHA TF RACK

といった機種は、もともとライブやイベント用途で設計されていますが、
音響設備としても十分に活用可能です。

メリット

・高機能な音声処理(EQ / コンプレッサー / ルーティング)
・オートマチックミキサー機能(複数マイクの自動制御)
・1台でシステムを完結できる場合もある

→ 結果として、機材点数を減らしコストを抑えられるケースがあります

デメリット・注意点

一方で、PA用ミキサーは

操作部(フェーダー・タッチパネル)が表に出ている

という特徴があります。

そのため、

・不慣れな方が設定を変更してしまう
・音が出ない・バランスが崩れる

といったトラブルが発生する可能性があります。

運用でカバーできる点

デジタルミキサーには、

・シーンメモリー(設定保存)

があるため、万が一設定が変わっても復旧は可能です。

ただし、

設備管理者が常駐しない現場ではリスクが残るため注意が必要です。

安定性を重視するなら…

施設管理者が常駐しない環境では、

マトリクスプロセッサーの採用がおすすめです。

・操作部が外に出ていない
・誤操作のリスクが低い
・リモート設定で操作範囲を制限可能

といった特徴があり、

「ユーザーが触れる範囲」と「触れない範囲」を分けて設計できるため、
安定運用に優れています。

※その分、機材価格は高くなる傾向があります

②ハウリング対策機材の工夫

一般的な音響設備では、ハウリング対策として専用機器を導入することがあります。

例えば
dbx AFS2 のようなハウリング・サプレッサーです。

価格目安としては、約11万円前後となります。

ただし、構成によっては
ハウリングサプレッサー機能を内蔵したデジタルミキサーを使用することで、
この機材を別途用意せずに対応することも可能です。

→ 結果として、この部分のコストを抑えることができます。

ハウリングサプレッサー搭載のデジタルミキサーCQ-18T

価格が抑えられないポイント

①ワイヤレスマイクの本数が多い場合

ワイヤレスマイクを6本以上使用する場合、
混信や干渉を避けるために高性能なワイヤレスシステムが必要になります。

②隣接する部屋でもワイヤレスを使用する場合

例えば会議室A・Bのように隣り合った空間で同時に使用する場合、

・周波数の管理
・干渉対策
・安定した受信環境

が必要となり、結果として

・外付けアンテナ
・分配器
・上位機種のワイヤレスシステム

といった構成になります。

→ この部分は安全性・安定性に直結するため、コストを下げにくい領域です。

③高度なゾーニングを行う場合

1つのシステムで、

・複数エリアに音を出したい
・時間帯や用途によって音声を切り替えたい

といった場合、ゾーニング(エリア分け)設計が必要になります。

このような用途では、

👉 マトリクスプロセッサーの導入がほぼ必須となります。

なぜコストが上がるのか

ゾーニングを行う場合、

・入力(マイク・音源)
・出力(各エリアのスピーカー)
・シーン制御(時間帯・用途切替)

をすべて個別に制御する必要があります。

そのため、

・高機能な音声処理
・複雑なルーティング設計
・システム全体の制御

が必要となり、結果として

👉 システム規模・機材コストともに大きくなる傾向があります。

④オートマチックミキサーを多用する場合

複数のマイクを使用する現場で、

・話者に応じて自動で音量調整したい
・ハウリングを抑えつつ運用したい

といった場合に有効なのが、オートマチックミキサー機能です。

便利だが“チャンネル数”に制限がある

オートマチックミキサーは非常に便利な機能ですが、
機種ごとに同時に処理できるチャンネル数に制限があります。

例えば:

・YAMAHA TF1 → 最大8チャンネル
・YAMAHA MTX3 → 最大4チャンネル
・YAMAHA MTX5-D → 最大8チャンネル
・Dan Dugan Model N → 最大64チャンネル

なぜコストが上がるのか

例えば、

・マイク10本以上を自動制御したい

といった場合、

・対応チャンネル数の多い機材への変更
・複数機材の組み合わせ
・高度な設定・調整

が必要になります。

その結果、

機材単価+システム構成コストが一気に上がるケースが多くなります。

まとめ

音響設備は「全部安くする」ことはできませんが、
適切に設計すれば“無駄なコスト”は確実に削減できます。

当社では、削れる部分と削れない部分を整理した上で、
現実的な構成をご提案しています。

この記事を書いた人

猶崎 恵太
猶崎 恵太通販事業部 デジタル・PA営業担当
高校からバンドを初めてギターエフェクターを探すうちに機材沼にはまる。その後、作陽音楽短期大学で音楽制作・レコーディングを学び、福山楽器センターへ入社。音響機器・デジタル楽器担当。
WEB担当のため店舗には常駐しておりません。店舗での機材相談をご希望の際は来店予約をお願いいたします。

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