ワイヤレスマイクが急に高くなる理由とは?本数・環境で変わる音響設計

「マイクを増やしただけなのに、なぜこんなに高くなるのか?」

音響設備のご相談でよくいただくご質問です。

実はワイヤレスマイクは、本数や使用環境によって“使える条件”が大きく制限される機材です。
そのため、一定の本数を超えると構成が一気に変わり、費用も上がります。

目次

基本構成(少数本の場合)

ワイヤレスマイクを1~2本使用する場合は、

・ワイヤレスマイク本体
・受信機(レシーバー)

といったシンプルな構成で運用可能です。

なぜ高くなるのか?

①機種によって「同時使用可能数」が決まっている

ワイヤレスマイクは電波を使用するため、
同時に使える本数には上限があります。

その大きな要因が「帯域幅(変調帯域幅)」です。

・帯域幅が広い機種 → 音質は良いが、同時使用本数は少ない
・帯域幅が狭い機種 → 効率は良いが、同時使用本数は多い

つまり、
どの機種を選ぶかで“使える本数の上限”が変わるということです。

SHURE ULXDの周波数帯域

②そもそも使える周波数帯が非常に狭い

日本国内で一般的に使われる「B型ワイヤレスマイク」は、
使用できる周波数帯が法律で決められています。

その範囲は、

・806.125MHz ~ 809.750MHz
→ わずか 3.625MHz幅

しかありません。

この限られた帯域の中で、

・各マイクが使用する帯域
・隣接チャンネルとの干渉を避けるためのガードバンド(隙間)

を確保する必要があります。

さらに、

・相互変調歪み(インターモジュレーション)

と呼ばれる干渉も考慮して周波数を配置すると、

安全に運用できるのは6本前後がほとんどなります。

③6本を超えると“設計の難易度が跳ね上がる”

例えば10本以上使いたい場合、

単純にマイクを増やすだけでは対応できません。

必要になるのは、

・周波数の高度な設計
・相互干渉の回避
・運用環境に応じた最適化

です。

その結果、

・高性能なワイヤレスシステム
・チャンネル管理機能を持つ機材

が必要になり、コストが上がります。

④別の周波数帯・方式を使う必要がある

6本を大きく超える場合は、そもそも前提を変える必要があります。

例えば、

・A型(特定ラジオマイク)※免許が必要
・1.2GHz帯
・2.4GHz帯
・B帯+デジタル方式

といった別方式を検討する必要があります。

→ これにより機材コストや設計コストが大きく変わります。

⑤デジタルワイヤレスは多チャンネル対応だが高価

近年では、デジタル方式のB型ワイヤレスマイクも増えており、

・電波効率が良い
・最大10本程度の同時使用が可能

といったモデルもあります。

ただし、

・デジタル変換処理
・高度な信号処理

が必要となるため、
アナログ機種に比べて価格は高くなる傾向があります。

⑥アンテナ設計が必要になる(実務ポイント)

本数が増えると、アンテナも重要になります。

・外付けアンテナ
・アンテナ分配器
・適切な設置位置

を設計しないと、

・音が途切れる
・場所によって受信できない

といった問題が発生します。

→ この“見えない部分”もコスト増の要因です。

まとめ

ワイヤレスマイクは、

・使用できる周波数帯が限られている
・機種ごとに同時使用可能数が決まっている
・干渉を避けるための設計が必要

といった理由から、

本数が増えるほど難易度とコストが上がる機材です。

よくあるご相談

・「6本くらい使いたいが大丈夫?」
・「10本使いたいが可能?」
・「隣の部屋でも同時に使いたい」

といったご相談も多くいただいています。

ご相談について

当社では、

・用途に応じた最適なワイヤレス構成のご提案
・過剰にならない機材選定
・施工方法や運用方法のアドバイス

まで対応しております。

また、

・現地施工
・電気工事士様との連携
・オンラインサポート

など、ご状況に応じた対応が可能です。

施工や設置については、
「音響設備の施工について」のページもあわせてご覧ください。

この記事を書いた人

猶崎 恵太
猶崎 恵太通販事業部 デジタル・PA営業担当
高校からバンドを初めてギターエフェクターを探すうちに機材沼にはまる。その後、作陽音楽短期大学で音楽制作・レコーディングを学び、福山楽器センターへ入社。音響機器・デジタル楽器担当。
WEB担当のため店舗には常駐しておりません。店舗での機材相談をご希望の際は来店予約をお願いいたします。

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